海の勇者、ヨハネス・クヌッセン機関長の遺徳顕彰会(会長=森下誠史美浜町長)は、来年の機関長殉難60周年記念事業として企画した絵画コンクールの入賞者16人を発表した。美浜、日高両町の町立小中学校に通う児童(4年生以上)、生徒を対象に作品を募り、各町、小中学校別に審査。最優秀賞には美浜で小早川陽心君(松原小4年)と尾崎日向君(松洋中1年)、日高で坂成海さん(内原小5年)と鈴木菜々さん(日高中3年)がそれぞれ決まった。 
 美浜町は小学校117点、中学校62点、日高町は小学校100点、中学校232点の応募があり、森下、松本秀司両町長をはじめ、副町長、教育長、駐日デンマーク大使、町教育研究会図工・美術部会教員らが審査員となって4部門別に最優秀1点、優秀3点を選出した。美浜町では22日に古屋修教育長が各学校を訪問し、入賞者を表彰。15日から30日まで中央公民館で作品を展示する。日高町では22日午後4時から役場町長室で表彰式があり、作品展示は19、20両日のふれあい祭で行われる。最優秀賞の4人は来年の春休みに駐日デンマーク王国大使館(東京都)で一日大使に任命され、入賞者には副賞を贈る。
 小早川君は、クヌッセン機関長が大荒れの海で日本人船員を助けようとする姿を描写。広角レンズから見たような構図で迫力いっぱいに仕上げ、海の勇者への思いを作品に込めた。最優秀賞には「もらえると思っていなかったのでうれしい。一日大使をするのも楽しみ」とにっこり。
 尾崎君は、高波の海をバックにクヌッセン機関長と海に落ちた日本人船員ががっちりと握手を交わす様子を描いた。日本とデンマークの国旗の上には太陽が照り、両国の友好を明るく表現。「まさか自分が最優秀賞に選ばれると思っていなかったのでびっくりしています。一日大使も頑張りたい」と笑顔で話している。
 坂さんはクヌッセン機関長が愛したキンセンカを花びら一枚一枚まで丁寧に描き、救命艇をバックにがっちりと握り合う大きな手の絵で両国のつながりをイメージ。「1年生の時に絵を描くのが好きになりました。今回、花びらを描くのは大変で自信はなかったですが、最優秀賞に選ばれてうれしいです」と喜んでいる。
 鈴木さんはクヌッセン機関長の紹介DⅤDを観てイメージを膨らませ、クヌッセン機関長の似顔絵や墓前で手を合わせる日本人、国旗、救命艇などを描いて、今後も両国の交流が続くことに願いを込めた。受賞に際し「クヌッセン機関長の勇気ある行動に感謝しています。一日大使になれるなんてびっくりです」と話している。
 デンマーク人のクヌッセン機関長は昭和32年2月10日、美浜町日ノ御埼沖で火災を起こした日本の木材運搬船を発見。悪天候のなか救助に当たり、海に落ちた日本人船員を助けるため飛び込んだところ、荒波にのまれて亡くなった。美浜町三尾の日の岬パークには機関長の胸像を建立。機関長の遺体と救命艇が打ち上げられた日高町田杭には救命艇の保管庫が建築され、両町では海の勇者の遺徳顕彰に努めるさまざまな活動が行われている。
 両町の優秀賞受賞者は次の皆さん。
 【美浜町】小学校=宮井萌絵(松原小6年)、岡本真夢(和田小6年)、柏木日那(同5年)▽中学校(全員松洋中)=松永美蘭(3年)、小早川瑞希(1年)、小澤卓也(同)
 【日高町】小学校=小角藍(内原小4年)、嶋田雅樹(志賀小6年)、稲垣裕稀(同5年)▽中学校(全員日高中)=川神茜音(3年)、武内優希(2年)、本間愛子(同)