日高町の農業者らでつくる日高元気塾(井上純代表)が、大阪府の大手食品会社とコラボレーションして、自分たちが栽培しているなた豆を使った「化粧せっけん」を開発している。加齢臭予防などの効果があるとされているが、全国的にはまだ珍しい商品。成功すれば農業振興や町のPRにもつながると期待されている。
 なた豆はマメ亜科の1年草。さやが刃物のように見えるのが特徴で、近年は口臭予防や蓄膿症、メタボ、アレルギーなどに効果があるとされる健康食品として注目。また、栽培に際して鳥獣被害が少ないとされる。そんななた豆に、日高元気塾が農業の6次産業化(生産から加工、販売まで)や遊休農地の活用などを目指して着目し、平成25年から栽培をスタート。面積3㌃で、26年は3㌧、27年は1・5㌧を収穫した。
 同塾はこのなた豆を使った商品開発も進めており、今回その話を知った大手食品会社側から同塾に対して化粧せっけんの開発について打診があった。なた豆の化粧せっけんはあまり例がないが、なた豆の天然成分が体の消臭などに効果があるとされており、男性が加齢臭を気にする時代、人気商品になる可能性もある。同塾はなた豆の提供を行うことにし、商品のパッケージにはこれまで開発した商品と同じように「九絵の町 日高町」「木のくにの恵み」などの文言も入れてもらう予定。
 井上代表は「来週中にもその会社から関係者がやって来ることになっています。せっけんの形にするのは全て手作業で、商品ができるまでには、2カ月ぐらいかかると聞いています」と話し、「なた豆生産だけで生計を立てるのはまだ難しいですが、これを契機に軌道に乗ってくれれば。町内で働く場所があれば若者たちも定住してくれるはず」と期待している。