認知症支援では全国でも先進的な御坊市は、介護が必要な人や高齢者に優しいまちづくりを一層進めようと、認知症介護研究研修東京センター研究部長の永田久美子さんを総合プロデューサーに、全国のモデルとなる支援体制構築へ向けた取り組みをスタートする。まずは市民に認知症を正しく理解してもらうよう、住民参加型のミーティング、全国認知症サミットin御坊の開催などを具体化していく。
 会期中の6月議会に提出している一般会計補正予算に「認知症地域支援体制構築の課題解決に向けた調査研究委託費」として1000万円を計上している。
 昨年1月、国で策定された認知症施策推進総合事業(新オレンジプラン)に基づき、認知症の人を含む高齢者に優しい地域づくりを推進しようと企画。認知症研究の第一線で活躍する永田さんと、同センターの外郭団体で認知症地域支援人材・チームづくりプロジェクトを手がけるNPO法人地域生活サポートセンターに業務を委託する。同センター職員が御坊を頻繁に訪れ、市介護福祉課と協働で認知症の人、家族、事業所、住民の発想や価値観を取り入れて新しい支援体制を構築して、御坊発の全国的にも先進的なモデルとなるように取り組んでいく。
 具体的なことは今後検討していくが、広く住民の意見を聞く場として住民主体のアクションミーティングの開催、市役所庁内関係各課との横断的な連携体制の仕組み作り、日本認知症ワーキンググループとのジョイントによる認知症の人の生の声を聞く「認知症サミットin御坊」の開催などを描いている。住民に認知症や高齢者支援への意識を高めてもらうことで、どのようなサポートが必要かを住民目線で考え、オリジナルの見守りネットワークを構築する取り組みとなる。介護福祉課の田中孝典課長は「さまざまな分野との連携、協働で地元にフィットした取り組みを作ることで、認知症になってもならなくても、誰にでも優しく安心して暮らし続けられるまちの実現に向けて、市民とともに新しいうねりを御坊から起こしていきたい」と話している。