JA紀州ニンニク部会(御影常夫部会長、会員38人)は、かつて由良町の特産として日本一の生産量を誇っていたニンニク栽培の〝復活〟を目指して取り組んでいる。近年、食の安全や健康ブームで国内産が見直され、単価が上昇していることを受けて、地場産業の振興や農家の収入アップを図るのが目的。現在、栽培面積は全盛期の7分の1となる3㌶にまで激減しているが、当面は10㌶に拡大する目標を掲げている。
 同部会によると、同町でのニンニク栽培は、当時主力産品の夏ミカンで収入を得られない5月に収穫できる農作物として昭和43年から本格的に始まった。かつては「由良に入るとニンニクの臭いがする」と言われるほどで、ピーク時には栽培面積20㌶で年間出荷量200㌧があったが、安い中国産に押され、温州ミカンへの改植が進むなどで、現在は3㌶約20㌧にまで減少した。
 近年、中国産の農作物の農薬問題や食品表示の偽装などで安心、安全な国内産が再び注目を集め、「餃子の王将」も国内産のニンニクにシフトしたことなどから、全国的な消費量が増加。安い時は価格が1㌔当たり400円だったが、いまは950円に跳ね上がっている。同部会ではこれに目を付け、ニンニク栽培を推進。まずは地元住民にニンニクを知ってもらえるようPR活動を行い、地元での消費喚起も図る。すでに去る22日、由良町中央公民館で開かれた野菜ソムリエ食育教室の場では、御影部長と白井伸和営農指導員がニンニク栽培の説明も行った。さらにニンニクは他の作物に比べて栽培しやすいが、今後、収穫時の省力化へ向けた研究も行う。同部会では、毎年9月の植え付けに向けて8月に栽培講習会、翌年3月に現地検討会、4月に出荷目ぞろえ会、6月に出荷反省会も開いている。
 同町産のニンニクは乾燥ではなく生で出荷しており、香りがよいのが特徴。御影部長は「全国で出荷時期が一番早いので、それだけ単価も高い。由良のニンニクをもう一度見直してほしい」と話している。