19日に告示された由良町長選は、現職の畑中雅央氏(71)=2期、衣奈、無所属=だけが立候補の届け出を行い、24日の投票日を待たずに2期連続の無投票で3選が決まった。役場職員時代から半世紀を超える行政経験を持つベテランに厚い信任が集まった格好で、「無投票の重みを感じるが、その町民の負託と信頼に応えられるよう全力を尽くしたい」と決意を新たにした。
 網代地内商工会西の選挙事務所では、支持者ら約150人が詰め掛け、午後5時の立候補届け出締め切り後に町内放送で畑中氏の無投票当選の知らせがあり、大きな拍手が起きた。
 祝勝会では、畑中氏と妻・トヨコさん(68)に孫の畑中佑介君(15)と孝太君(12)、親戚の川端春菜さん(26)と岡本惠津子ちゃん(4)から花束が手渡されたあと、万歳三唱を行い、祝いのタイの贈呈などもあった。まず後援会の川口洋治会長がマイクを手にし、「無投票は多くの皆さんが畑中町長を信じて任せてくれた証。その信頼を裏切らず、4年間頑張ってくれると確信している」とあいさつ。冨安民浩県議は「2期8年間の真摯(しんし)な取り組みと実績が評価された」、県町村会会長の小出隆道上富田町長は「畑中町長を軸に一致団結してまちの発展を」、日高郡町村会の小谷芳正みなべ町長が「現在、日高郡の首長で3期目は畑中町長だけ。大先輩にあやかりたい」などと祝辞を寄せた。
 畑中氏は「心から感謝したい。2期8年間やってこれたのは皆さまの理解と協力のたまもの」と頭を下げ、3期目については「町民の信任に応えられるよう決意を新たにしているところ。由良で生まれ、育ち、働き、安心して暮らせるまちづくりを目指す。財政は厳しい状況だが、町民に支えていただきながら全力で公約の実現に取り組む」と決意をみなぎらせていた。最後に町議会の玉置一郎議長の発声で乾杯を行い、祝賀ムードに包まれていた。
当選証書交付と初登庁 畑中氏への当選証書交付は、25日午前10時から役場で開かれる選挙会終了後に行われる。初登庁は27日午前8時10分からを予定している。
 畑中氏は3期目の公約で「ふるさとに誇りと活力を」をモットーに、①ゆらっ子誕生の支援②健全なゆらっ子の育成③活力ある地域産業の育成④暮らしやすい地域社会――の4本柱を掲げている。
 中でも③については「漁業の6次産業化(1次産業従事者が加工、流通、販売などの多角経営を行うこと)の取り組みを推進したい。その一環で、かねて交流がある岐阜県美濃加茂市と連携して、由良町の魚を同市の酒かすに漬けた新産品を開発。戸津井などにある海藻のアカモクやワカメの新商品開発も進めたい」と意欲的。また、「農業ではゆら早生やさつきはっさくのブランド向上。観光では、日高や有田エリアで広域連携して旅行商品を開発し、都市部からの誘客を図りたい」としている。
 このほか、①については「若い世代の出会いのきっかけをつくりたい。不妊治療の助成や妊産婦の医療費助成を行う」とし、②については「本年度からおむつ助成を1歳から2歳まで拡充し、3人以上の子どもを持つ世帯の保育料軽減も行う。また、ふるさと協定を締結している摂南大学(大阪府寝屋川市)と連携した町内の学力向上を図る」、④については「地震、津波の防災、減災へハード、ソフト両面から推進。県道改良もまだ不十分で、これをさらに進めたい。国道42号の水越峠改良にも全力で取り組む」と意気込んでいる。