日高川町寒川地区の住民有志でつくるホタル保存会(山口武会長)は、平成23年の紀伊半島大水害で壊滅状態となったホタルの復活へ、11日に初の幼虫の放流を行う。メンバーらが1年間、飼育小屋の整備などをして育ててきた幼虫。順調に育てば5、6月ごろには再び寒川地内にたくさんのホタルの姿が見られ、同会ではホタル祭りの復活も目指している。
 水害前の寒川地内は5、6月になると数え切れないほどのホタルが飛び交い、観賞地として有名。6月にはホタル祭りを開き、町内外から約2000人の見物客が訪れにぎわっていた。しかし、平成23年9月の台風12号による大水害で壊滅的な被害を受け、以降、年々ホタルは自然に増えているものの数匹から数十匹程度と激減している。
 地元では昨年3月、以前からホタルの保存活動をしていたメンバーを中心にホタル保存会が発足し、町の地域おこし協力隊とともに復活へ活動を始めた。活動はホタルの復活事例がある紀美野町で学ぶことから始め、山からパイプで水を引いたり、ホタル小屋の整備、休耕田を活用しホタルのエサとなるカワニナの養殖場整備などを行ってきた。幼虫は近隣の地域やホタルの保護に力を入れている広川町の津木中学校などから数千匹を譲ってもらい、飼育してきた。
 初の放流となる11日は商店「三尾屋」下を中心に3カ所で行い、地元寒川第一小学校の児童も協力する。数千匹から順調に育った幼虫の数は分からないが、今夏にはたくさんのホタルの姿が見られそうだ。また来年以降も引き続き幼虫の飼育・放流を予定している。同会では今夏にホタル祭りの復活も検討している。