夕食の時、「このおみそ汁、ナスビがふわふわでフリーズドライなんて思えない」と妻が話した。フリーズドライ製法とは、水分を含んだ食品や食品原料をマイナス30度程度で急速に凍結し、さらに減圧して真空状態で水分を昇華させて乾燥させること。熱湯をかけるだけであっという間に料理が完成し、保存食や携帯食として人気が上昇を続けている。「まあ、みそ汁ぐらいなら」と思ったが、調べてみると実にさまざまなメニューの商品が販売されていた。
 有名食品メーカーのHPを見ると、みそ汁は、なす汁のほか、なめこ、とうふ、とん汁、しじみ汁など軽く10種類以上。親子、牛とじなどのどんぶり、シチューやリゾット、またカレー、パスタなどもある。みそ汁以外は味わったことがないが、テレビで試食した人の感想を聞くと〝本物〟と同じような出来だという。チキンカツの玉子とじでは、カツのサクサク感が楽しめると言っていたから、とても不思議だし驚かされる。食卓で話をした際には「1週間ぐらいなら、お湯をかけるだけで生活できそうや」との言葉が思わず出た。
 食品メーカーの話では「お餅以外は、フリーズドライにできる」らしい。食品を凍結、乾燥させても味のみならず栄養成分を損なうことが少ないようなので、いまの技術力は本当に素晴らしい。
 食品の加工技術進展は、衰退を続ける1次産業の振興に大きな力になる可能性がある。地元の特産物も、もっと簡単で手軽に食べられ、世界中どこへでも素材のよさを損なわずに運べるようになれば、新たな需要が生まれるのは間違いないところ。どうにかして高い技術力を持った食品メーカーを誘致できないものだろうかと思う。 (賀)