「自分たちが住むまちの魅力を再発見する」とは、最近の地域活性化のキーワード。人に伝えるためにまずは自分たちがまちを知るのは重要なことだ。そこから何をアピールすべきか、知ってほしいことをどう伝えればいいのかが見えてくる。昨年初開催した御坊日高博覧会、通称おんぱくのテーマの一つが地域の魅力を再発見することだった。自分たちのまちにはこんな素晴らしいものがあり、人がいる、これこそが観光資源であり、まちを元気にする原動力であろう。
 先日、御坊市が主催の熊野古道ウォークイベント「語り部と歩こう」が初めて開催された。JR紀伊内原駅から道成寺までの約5㌔で、途中で熊野古道の王子跡を巡った。一緒には歩けなかったが、要所で取材させてもらい、御坊にもこんなところがあるのかと初めて知ることができた場所があった。藤田町吉田地内にある愛徳山王子跡である。場所は八幡山の近く、新鮮玉子の直売所の裏手で、細い道を歩くと竹林のトンネルがあり、昔ながらの景色がそのまま残っているようで、参加者からも「熊野古道らしくて好き」と好評だった。地域の魅力に触れることができたひとときだった。
 車で走ると気付かなかったが、王子跡へ案内する小さな看板は道沿いにたくさんあり、観光客をさりげなく誘導していた。加えて語り部の方の案内と分かりやすい解説のおかげで楽しさは何十倍にもなった。歴史や文化など地域の魅力という観光資源、それを引き立たせる語り部もまた観光資源。磨けば光る資源があっても、やはり人がいなければ魅力は伝わらない。地域づくりは人づくり、人なくして地域活性化はないことをあらためて感じさせられた。(片)