受験シーズンや5月の節句へ向け、御坊市で縁起物として親しまれていた天神人形の人気が再燃しており、祭具師の杉本卓治さん(48)=御坊市薗=が制作に追われている。天神人形はかつて御坊周辺で節句の贈り物として広まっていたが、長らく途絶えていたのを杉本さんが昨年、オリジナルの天神人形として復刻。口コミなどで話題が広まっており、県外からの問い合わせもあるという。
 日高地方では明治中期から昭和10年代をピークに、節句のお祝いに天神さんや俵持ち、三番叟などの「御坊人形」を贈る習わしがあったが、時代の移り変わりや、後継者がいないまま最後の人形師がなくなったことで途絶えていた。杉本さんは昨年1月、知人から御坊人形の制作を勧められたのをきっかけに、天神人形をもとに目や耳を大きくするなど杉本流のオリジナルの天神人形を夏に完成させていた。
 11月には、杉本さんが代表となって寺内町に天神人形などを扱う新しい土産物店「御坊天神堂」をオープン。寺内町観光に訪れた人が多く立ち寄っており、話題は徐々に住民にも広まり、ホームページを立ち上げてからは東京など県外からの問い合わせも多くなった。
 天神さんは学問の神様である菅原道真で、合格祈願にと19体の注文を受けているほか、5月の節句へ向けても4体の依頼を受けており、現在制作中。杉本さんは本業がタイル職人で、仕事を終えてから毎晩、天神堂で遅くまで作業を行っている。制作に約2カ月かかるため、ことしの節句用はあと数体しか制作できないが、来年用や縁起物、郷土の伝統文化として注文はいつでも受け付ける。高さ約30㌢で張り子は1体3万5000円、練りものは1体3万円。杉本さんは「昔、家でも飾っていましたよという声も多く、懐かしんでくれる人がたくさんいます。伝統文化の魅力を発信し、御坊のPRにもつながれば」と話している。