AMラジオ局の㈱和歌山放送(和歌山市)は大規模災害時等に県民に必要な情報を伝達する手段を確保するため、FMラジオによる中継局(ワイドFM)の整備を進めており、19日、総務省近畿総合通信局から御坊FM補完中継局(周波数92・4MHz)と田辺FM補完中継局(同91・6MHz)の予備免許が交付された。今春には親局となる和歌山中継局(海南市)が本放送を開始する予定となっている。
 ワイドFMは中波(AM)放送局を補完するために開設される放送局で、主に地上テレビ放送のデジタル化によって空いた周波数(90~95MHz)を使用してAM放送と同じ番組を放送する。聴取には90MHz以上の受信に対応しているFMラジオが必要。
 和歌山放送は昨年12月、和歌山市と岩出市、紀の川市、海南市、有田市などを放送エリアとするキー局(和歌山中継局=94・2MHz)の予備免許を取得。今春から本放送開始を予定しており、御坊、田辺局も順次、放送を開始する。
 御坊局は御坊市の白馬山から送信し、広川町から御坊市、日高川町をカバー。田辺局は田辺市の槇山を送信場所とし、みなべ町から田辺市、白浜町、上富田町などを受信エリアとする。従来のAM放送は、ワイドFM放送が始まっても続ける。
 同社は「昨年、国連総会で11月5日を『世界津波の日』とする決議案が全会一致で採択されました。由来となった安政の南海地震発生日に、『稲むらの火』の逸話が残る和歌山県の県域ラジオ局として、和歌山放送は稲束に火をつけ村人を高台に導き救った濱口梧陵を範にし、『現代の稲むらの火』となって、県民の命を救うため今後も放送をしていく」と話している。