2選を目指す現職の日裏勝己候補(65)=皆瀬川=と元町職員で新人の湯川和幸候補(58)=印南原=が一騎打ちを繰り広げている印南町長選は、5日間の舌戦もきょう6日で終了する。前哨戦から先行し知名度、組織力で上回る日裏候補が一歩抜け出しているとみられるなか、出遅れたものの前職時代の人脈を頼り、地道な草の根運動で巻き返しを図る湯川候補。日裏候補が逃げ切るか、湯川候補が追い越すか、最終盤の情勢を分析した。
 前哨戦から振り返ると、昨年9月に日裏候補が立候補を表明。12月に湯川候補が名乗りを上げ、選挙モードに突入した。日裏候補は初陣の前回と立場が逆転、4年間の評価を問う選挙戦となり、公務のため動きが制限されたが、年明けの後援会事務所開きでも先行。自治会や業界団体からの強力な支援で、実績と次の公約を浸透させてきた。一方の湯川候補は表明、事務所開きとも出遅れたが、推薦区のバックアップや陣営の持てる人脈を総動員し、知名度アップを図りながら行政経験と政策をアピール。現町政への不満を自らの支持に変え、追い上げてきた。
 印南(約2100票)、稲原(約1700票)、切目(約1600票)、切目川(約1000票)、真妻(約500票)の地区別にみると、まずは「票が読みづらい」とされる印南は混とん。両陣営とも「勝負どころ」とみて互いに一歩も譲らない。日裏候補は前回いなかった町議が2人加勢。組織力を生かして票をまとめ、湯川候補は妻の実家がある津井区から若者や女性へ支持を広げる。稲原は地元の湯川候補が優位。支持母体の印南原区から票を積み上げる。切目は日裏候補が固く、選挙事務長のおひざ元で選出2町議もバックアップ。切目川も日裏候補が若干優勢か。前回からの支持を拡大する一方、湯川候補も批判票の取り込みに成功している。真妻は地元の日裏候補が盤石。総合すると、印南で日裏候補は互角、湯川候補は過半数の獲得が勝利の条件となりそうだ。
 また、4年前の前回時に獲得した日裏候補3934票、対立候補2542票も一つの目安となり、その差1392票。今回は日裏候補が現職批判の的となりキープしづらく、新人の湯川候補は前回からの反対票に自身への支持をどれだけ加えられるかがかぎとなる。
 最終分析は両陣営や有権者への取材を基に行った。「公約に共通項が多く、大きな争点もない」といわれるなか、住民への取材では2~3割が投票先を決めかねていると答えており、今後情勢が一変する可能性もある。