消防、警察、自衛隊の津波災害発生時実働3隊と関係機関との連携強化などを目的とした県の津波災害対応実践訓練が29日、県内各地であり、企業や各種団体含め60機関2800人が参加。県南方沖でマグニチュード8・7の地震が発生と想定し、それぞれの被害状況に合った対応を確認した。日高地方でも美浜町の煙樹ケ浜、日高川町の日高川河川敷を会場に、橋の復旧や水陸両用車を使った海上からの情報収集などが行われ、万一のときに備えた。
 日高川河川敷では県、陸上自衛隊第3施設大隊のほか、日高と紀南の建設業協同組合、近畿地方整備局なども参加。河川にかかる橋が流失したと想定し、復旧作業訓練に取り組んだ。河川敷に掘った大きな穴を河川と見立て、コルゲート管と呼ばれる筒で川の流れを確保しつつ、周りを土嚢(どのう)で固め、仮設の橋を完成させた。作業は重機や人力で行われ、役割を分担しながら迅速かつ正確に進め、万一の事態へ防災意識を高めていた。陸上自衛隊は荷台に架橋器材を搭載した大型トラック「81式自走架柱橋」、近畿地方整備局はヘリ「きんき」を出動させ、上空から被害や復旧状況を確認した。
 煙樹ケ浜では和田の陸上自衛隊和歌山駐屯地第304水際障害中隊と美浜町の合同訓練として実施し、自衛隊員23人と役場職員3人、県職員2人が参加した。水陸両用車は日高港近くの煙樹ケ浜東から出発。デッキには玉置久起駐屯地司令、町防災企画課の中村幸嗣課長ら12人が乗り、三尾沖まで向かった。海岸から1㌔ほど沖合を進み、海上から海岸線県道の土砂災害状況などを確認。三尾沖まで片道約7㌔を最速6ノット(12㌔)のスピードで現場に急行、情報収集に当たり、往復約1時間半の日程を終えた。玉置司令は「この機会に災害時に自衛隊ができる活動を知ってもらい、理解してもらえれば」と訓練の意義を説明し、中村課長は「初めて自衛隊と一緒に海上からの情報収集訓練に参加しました。美浜町の地形状、やはり海上からの確認、情報収集も大変重要と感じ、万一のときにはこの訓練を役立てたいと思う」と話していた。