県社会福祉協議会の設立60周年を記念した地域シンポジウムが20日、御坊市民文化会館小ホールで開かれ、日高郡内の社協やボランティア関係者ら約200人が参加。御坊、美浜、日高川、みなべの4市町の社協職員が日ごろの取り組みを発表した。この中で御坊市社協主事の北野裕子さんは「家事援助サービス」について、「無口だった利用者が明るく、生き生きしてくるのがうれしかった」などと成果を強調した。
 北野さんは、市社協が事務局となって取り組んでいる住民参加型の家事援助サービスを紹介。住民同士が互いに助け合う地域づくりの実現を目指して平成13年に事業をスタートさせたこと、利用会員の依頼を受けて提供会員がスーパー等への買い物、自宅の掃除、衣類等の洗濯、病院での薬代理受け取りなどのサービスを有償で行っていることを分かりやすく説明。26年度の実績は提供件数1134件、提供時間は1438・5時間あったことを話した上で、「無口だった利用者さんがボランティア会員との触れ合いを通じて明るく、活発になっていった。その様子にボランティア会員も喜び、やりがいを感じている。定期的に訪問することで体調などの変化にも気づけて、大事に至らなかったこともある」と取り組みの効果を報告。別の利用会員の話として「利用をやめて施設に入所した人が3年ぶりに電話をかけてきてくれたこともあります。ほんの少しでも支えになれているようでうれしかった」などとエピソードを紹介した。半面、提供会員が減少し、利用者のすべてのニーズに応えられていない課題も挙げた。コーディネーターを務めた和歌山大学経済学部の金川めぐみ准教授は「家事援助サービスという単なる制度ではなく、利用者と関係性をつないでいけるところが素晴らしい」と絶賛し、「このような関係づくりが、2025年(団塊の世代が75歳になる)に向けて高齢者を地域で支える体制をつくっていくきっかけになる」と住民参加型サービスの魅力を強調した。
 シンポジウムでは美浜町社協の籔内克彦事務局長が「笑顔のふれあいささえ愛~地域巡回いきいきサロン事業」、日高川町社協の井口淳地域福祉コーディネーターが「日高川町災害ボランティアセンターの取り組み」、みなべ町社協の山下紗代地域福祉主任が「みなべ町における住民相互の助け合い活動」でそれぞれ発表した。