みなべ町清川、萬福寺で石井清澄住職(72)が月1回開いている寺子屋が子どもたちの憩いの場となっている。「南無阿弥陀仏」の写経のほか、イモ掘りやクリスマスなど季節に合わせた楽しいイベントも実施。石井住職は「地域の子どもたちと道で会うと『和尚さん』と声をかけてくれる。それがとてもうれしい」と話している。
 石井住職は元小学校校長で、平成16年に清川小学校を最後に退職。「学校を離れても子どもたちとの関わりを持ち続けたい」という思いがあったという。以前から寺に子ども文庫「一休文庫」を開設していたが、利用してくれる子どもが少なく、「定期的に子どもたちが集まるような取り組みをする方がいいのでは」と考え、10年ほど前に寺子屋を開いた。
 毎月第2土曜日に本堂で開講し、地域の小学生らが10人程度集まっている。内容は、低学年が平仮名で「なむあみだぶつ」、高学年が漢字で「南無阿弥陀仏」と硬筆で写経。子どもたちは書き上げると「和尚さん、できました」と提出し、石井住職は「漢字で名前を書けるようになったのか」「ガールスカウトには行ってきた?」など、一人一人と優しく言葉を交わす。仕上げた枚数によって9級(5枚)からスーパー名人(200枚)まで21段階にランク付けし、子どもたちが楽しみながら取り組めるようにしている。写経が終わると、「ヨーヨー釣り」「水鉄砲づくり」「クリスマス会」などのイベントを用意。今月には近くの畑でイモ掘りが行われ、子どもたちがスコップを手に収穫を楽しんだ。11月には焼きイモを企画している。
 石井住職は「道で子どもたちに会うと、あいさつをしてくれる。子どもたちとの関わりが持ててうれしく思っている。今後も続けたい」と話している。