御坊市外五ヶ町病院経営事務組合議会が19日に国保日高総合病院で開かれ、同病院に28年度中に口腔外科を新設することなどを盛り込んだ今後の病院経営方針の試案を明らかにした。
 舌がんなどの診療を行う口腔外科の開設については、地域住民や歯科医らからニーズが高かったことから2年ほど前から県立医大と検討。医師の確保にめどがたち、来年度中にも開設できることになった。具体的な診療体制は今後煮詰めていくが、地域の中核総合病院で専門的な治療が受けられることで、地域医療の高度化と住民の利便性向上が期待されている。
 今回説明した経営方針の試案は、赤字からの脱却に加え、医療法の改正で各病院に「新病院改革プラン」と2次医療圏単位(御坊日高は日高、北裏、北出、和歌山の4病院)で「地域医療ビジョン」の策定が求められていることを受けて発表された。とくに地域医療ビジョンでは、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年問題に向けて急性期病棟の大幅な削減が求められており、御坊日高医療圏の4病院合わせて現在の588床を488床に100床減らすよう国から示され、4病院合同での協議が8月からスタートしている。こうした状況の中、日高病院としては一層の経営強化へ向け、診療体制の維持・拡大、収入の増加と支出の抑制を実現していくことを強調。具体的には5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)と5事業(救急、災害時、へき地、周産期、小児の各医療)をより充実していくため、医師の適正確保、さらには地域包括ケアシステムへも積極的にかかわっていくことを盛り込んだ。口腔外科の新設もこれらの取り組みの一環で、腎臓透析態勢の安定にも早急に取り組むことにしている。議会で小川周司事務長は「将来的には医療機器や建物の更新も必要になってくる。そのためにも経営を縮小するのではなく、収入を増やすための体制を整えていきたい」と力を込めた。