由良町まち・ひと・しごと創生推進協議会(鶴坂貴恵会長)の第3回会議が19日に役場で開かれ、同町版の総合戦略(本年度から31年度までの5カ年計画)を承認した。その中で旧白崎・衣奈中学校の廃校舎や町内空き家を活用して、IT関連企業などの「サテライトオフィス・スクール」の誘致推進を盛り込んでおり、総合戦略の特徴となる数値目標(KPI)としては、31年度までに5件の誘致実現を掲げた。
 まち・ひと・しごと創生法に基づき、全国の各自治体が地方版総合戦略の策定を求められており、一般有識者らの協議会で総合戦略が承認されたのは日高地方で由良町が一番乗り。基本目標に▽安定した雇用創出▽新しいひとの流れをつくる▽若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる▽時代に合った地域をつくり、安全なくらしを守るとともに、地域と地域を連携――の4本柱を掲げている。さらに、基本目標ごとに各種施策の方向性を示し、数値目標となるKPI(Key Performance Indicator)を設定。国はこの数値目標の達成に応じて補助金を交付していく。
 同町総合戦略に盛り込まれたサテライトオフィス・スクールは、企業または団体の本拠地から離れた所にサテライト(衛星)のように設置された事務所や学校のこと。場所にとらわれず事業が展開できるIT企業の事務所やコールセンター(電話対応業務)として開設される場合が多い。由良町内では3中学校の統合に伴い、旧白崎と旧衣奈の2校が廃校舎となっているほか、平成22年度の調べでは町内に270戸の空き家があり、各教室や空き家ごとに企業、団体に無料または安価で貸し出す。このほか、企業経営者や学識経験者らを招き、講演会の場や研究所としても貸し出す。人の交流が生まれ、地元雇用の場確保につながると期待される。推進に向けては、インターネットを利用しての事業が展開できるよう「Wi―Fi」など情報通信網の整備を行う。
 サテライトオフィスは、国内で昭和63年に埼玉県志木市に開設されたのが最初。和歌山県内では白浜町が先進地。町が10年前に民間保養施設を買い取って誘致を推進しており、現在、ほとんどの部屋が利用されている状況で、由良町での取り組みも注目される。