終戦時は130万だった数字が1950年代に1000万となり、いまから30年前には2100万、17年前には3500万にまで膨れ上がった。これは日中戦争の中国人の死者・死傷者の数で、2100万人は中国共産党政府の公式発表、3500万人は江沢民主席が主張した。
 いわゆる南京大虐殺の犠牲者数も同様。中国側は30万人とし、日本の一部メディアの報道では、すでに米国の公立高校の教科書には、日本軍が2カ月の間に7000人の女性を強姦し、銃剣で40万人を殺害したと記述されているという。
 日本人の多くは、数十万人もの大虐殺など政治的意図のもとにでっちあげられた数字だと分かっていても、米国の教師やその教科書で学ぶ生徒たちはそれを真実であると疑わない。ついにはユネスコまでが中国の情報戦略にはまり、記憶遺産に登録してしまった。 中国は南京大虐殺とナチスのホロコーストを同列に置き、日本を貶めるためにはなりふりかまわず大金を使い、欧米諸国に向けて宣伝、ロビー活動を展開してきた。その結果が米国の歴史教科書、ユネスコの記憶遺産登録であり、もはや取り返しがたい外交の敗北である。
 私たちの常識、価値観からすれば、国際社会における中国のふるまいはまるで信じられない。しかし、それこそようやく見えてきた中国の正体で、そんな「諸国民の公正と信義に信頼して」泣き寝入りを続けても、国際世論が日本になびくことはありえない。非常識なのは日本となる。
 南京大虐殺は東アジアの覇権を狙う中国にとって、その障害である日米同盟に打ち込む大きな楔。日本の為政者は今回の記憶遺産でユネスコを非難する前に、自らの言動、政策の愚かさを反省すべきだ。(静)