アメリカ国務省東アジア・太平洋局日本部部長などを務めたケビン・メア氏がテレビ番組の中で、日本の国会審議について「どうして強行採決なんて言葉を使うのだろう」と疑問を呈していた。法案は時期がくれば採決するのが民主主義では当たり前。それ相応の審議時間をとったうえで国民に選挙で選ばれた人たちが可否を判断するのに特に「強行」という言葉を付け加えるのは、理解ができないとの思いを持っているようだった。法案は必要性があると決めたから提出されるのであって、ずるずると継続審議をしている場合でない、待ったなしのケースも出てくる。そのときがくれば採決するし、確かにそれを強行と呼ぶのは反対する側からの少し一方的な見方と感じないでもない。
 安全保障関連法の参院採決で、「強行採決」よりもっと目に余る行為も続出した。委員会採決の際に野党議員が委員長に押し寄せ、その周囲はブロックする与党議員も入り混じってめちゃくちゃ。さらに委員会室の後ろでは女性議員を引き倒す男性議員もいた。その他、委員長を部屋に閉じ込めたり、長時間演説での議事進行妨害、牛歩戦術、葬式のパフォーマンス、プラカードを持ち込んでの大騒ぎ。これが国権の最高機関かと情けなくなった。
 国民の間でも賛否が割れているとみられる安全保障関連法案。採決を通じて思ったことは「こんな野党で大丈夫か」ということの方が強い。野党側は「戦争法案反対」とレッテル貼りを繰り返すなら、もっと丁寧に「何が、どのように問題なのか」を国民に訴える必要があったと感じる。国の行く道を大きく変える重要法案だからこそ、世界から見られても恥ずかしくないやり方で結論を出してもらいたかった。   (賀)