小学校の運動会などは日高地方でも半数以上が初夏開催だが、空気がカラッと気持ちよく澄み、空が高くなるとやはり「スポーツの秋」という言葉が似合う季節に思える
 小学校の頃、体育で高跳びが跳べなかった。わずかな高さでもバーに体当たりする。大多数の人と同じくバーに向かって右側から助走していたのだが、ある時、皆が「右足で踏み切っているようだから、左から走らないと」と助言してくれた。利き足など考えたこともなかったが、そういえば右でしか踏み切れない。落ち着いて考えると、右から走っていって右足で踏み切っては跳べるわけがないが、幼少時に「右と左」の理解が遅かった筆者には意味がよく分からず、なかなか言う通りにしなかった。が、あまり熱心に言われるので思いきって左から走ってみた。右足で踏み切ると、ひらり、と簡単にバーを跳び越していた。自分でも驚きだった。感情が顔に出ない方なのであまり喜んでいるようには見えなかったと思うが、皆のおかげで高跳びの味を知ってとても嬉しかった
 今に至るまでスポーツは苦手を貫いているが、あの一瞬の爽快感は忘れられない。実践は駄目だが観るのは大好きで、バレーボールも大相撲も熱くテレビ観戦する。ルールなどの理解度に自信はないが勝負の行方や記録への挑戦に感情移入して胸を躍らせられるのは、一瞬の達成感を体感できた記憶からだろうか。自分ではできなくとも、やっぱりスポーツはいいものだと思う
 かわいいきいちゃんが各地へ出張してPRに頑張る様子を何度も取材してきたが、いよいよ26日、紀の国わかやま国体・大会が開幕する。スポーツの現場ではたくまずしてドラマが生まれる。和歌山県全域がその舞台となる。胸躍る11日間の始まりである。 (里)