御坊・日高圏域自立支援協議会主催の第3回障がい者就労支援セミナーが18日、御坊市民文化会館で開かれた。御坊・日高圏域での開催は初めてで、「精神に障がいのある人の就労を考える」をテーマにハローワークや精神医療、事業所職員らがシンポジウム形式でそれぞれの取り組みを発表。「事業所の理解とフォローしていく体制が必要」と、依然低い精神障害者の就労支援へ関係機関の連携の重要性を強調した。
 就労を目指している障害者や関係機関から約100人が参加。精神に障害のある人の就労率をアップさせていくには何が必要かを探るため、それぞれの分野の意見を聞こうとシンポジウム形式にした。シンポジストを務めたのは、ハローワーク御坊の岸康広雇用指導官と中瀬由加里上席職業指導官、和歌山障害者職業センターの岩田直子カウンセラー、社会福祉法人太陽福祉会ワークステーションひだかの石田豊彦管理者、日高総合病院の中嶝賢一精神保健福祉士、当事者の立場から特別養護老人ホーム白寿苑で働く長井保さんの6人。
 ハローワークからは管内で昨年度、精神障害者への職業紹介件数は39件で、うち就職件数は13件あり、年々増えてきているものの依然として低い水準にある現状が報告された。中嶝精神保健福祉士は、医療の立場から就労の継続に必要なこととして精神疾患について理解を深める、本人の病歴や性格・特徴を把握する、フォロー体制の3点を挙げ、「働くことに対しての不安をできるだけ少なくするためのサポートが必要で、各機関の連携が求められる。体調の波があることなど事業所の理解も重要で、長い目で見てくれれば仕事を長く続ける意欲が湧いてくる」と、就労後もフォローしていく体制の確立を訴えた。岩田カウンセラーや石田管理者も、ジョブコーチと呼ばれる人が本人と事業所の間に入って支援することが成果を挙げていることを説明。さらなる充実の必要性を訴え「継続的なサポートが重要」と強調した。最後に当事者の立場から長井さんが発病から就労まで10年かかったこと、いまは清掃等の仕事にやりがいを感じていることを報告し、「ジョブコーチがいてくれたことで安心して働けている。一般就労を目指している皆さんは、すぐに結果を求めず、人からアドバイスを受けることも大事です」と思いのこもったメッセージを送った。