御坊市湯川町小松原の紀南電設㈱(林惠一代表取締役)とJICA(国際協力機構)が共同で進めているミャンマーの無電化地域へ太陽光パネルで電気を安定供給するプロジェクトが、いよいよ本格始動する。ミャンマーの若者や政府官僚ら10人が13日に来日し、18日まで同社で電設工事技術を学ぶ。習得した技術を生かしてミャンマーの2つの村に電気を供給する計画で、画期的な取り組みに注目が集まっている。
 日本の企業や大学などが持つ経験と技術を生かしてJICAと共同で開発途上国での協力活動を行う「JICA草の根協力事業」の一環。ミャンマーは東南アジアの共和制国家で、国内の約7割が大規模発電施設の対象とならない無電化地域(25年度時点)となっている。2013年12月に草の根協力事業の実施が決まり、これまで村の調査や政府との調整など準備を進めてきた。
 今回実施する村は、ヤンゴン市から車や船で約3時間のミーライ村とアタヤゥン村。雨季があるため、高床式の家が並ぶ。2村合わせて約350世帯に太陽光パネル1枚とバッテリー、チャージコントローラー、インバーター等を取り付け、直管型LED2本(大洋化学製)とボール球型LED1個を設置。自然エネルギーを活用して昼間に電力を蓄え、夜間に発電する仕組みで、無電化を解消する。
 13日から来日するのは、この発電システムを実際に施工する現地の村人5人、政府官僚3人、電気工事を行っているエンジニア2人の計10人。14日に和歌山県庁で下宏副知事を表敬訪問し、紀南電設では15日から18日までの4日間研修して電設工事技術を習得。19日に関西空港から帰国する。現地での工事は雨季が終わる秋ごろからで、紀南電設は施工もサポート。工事は12月ごろに終了するが、その後もメンテナンス指導を行い、来年5月ごろに事業完了となる見通し。林代表取締役(62)は「施工技術や維持管理をしっかり勉強し、習ったことをミャンマーに持って帰って生かしてほしい」と期待を込めて話している。