日高地方一となるプレミアム率40%の美浜町プレミアム商品券は発売初日、既報の通り発行者側の不手際もあって大混乱となった。
 商品券発行は、景気をよくしたり(消費喚起)、低所得者をサポートしたり(生活支援)するための、国の交付金事業。発行は各自治体などで担い、それぞれどこに重点を置くかで事業のやり方は変わる。日高地方でも各自治体で購入者、取扱事業所の対象、購入限度などさまざまだ。
 日高町では議会からの指摘もあり、1人1セットに限定。多くの町民が購入できるようにした。福祉施策に近い感じだ。逆に美浜町は1人5セットまで購入できた。この部分に批判も出たが、「この際大きな買い物を」という人の背中を後押しする、消費喚起では成果が挙がる可能性はある。
 販売方法では美浜町の場合は当日並ぶのが難しい町民への配慮に欠けたというのは否めない。ただ、予算審議の段階で町、議会(町民)から、もっと柔軟な発想が出ていれば「2時間待って買えない」事態は回避できたはず。混乱の責任は現場だけではない。「多くの人が買いたい」と思ってくれるまではよかったかもしれないが、詰めが甘かった。
 いま、取り組みが進められようとしている地方創生では自分たちのまちでアイデアを出し、事業を実行し、成果を挙げなければならない。そんな中、商品券発行の事業一つをとってみても各自治体のカラーが出ている。多様な考え方がある中、不手際の部分を除けばどのやり方が正解なのかは結果を検証してみるまでは分からないと思う。余計な混乱を招いたのは情けないことだが、感情的になるばかりではなくこれをいい教訓ととらえ、次の事業に生かすことも大事である。(賀)