5カ年計画で約8億円を投入し、海岸への砂の搬入や防波堤建設、海岸線道路の拡幅などを進めてきた由良町衣奈漁港海岸整備工事が、近く完成する。海岸の保全・浸食対策の一環だが、同海岸は遠浅の砂浜で、以前から海水浴ができる穴場スポットとして人気があり、今夏はより多くの人でにぎわいそうだ。
 衣奈海岸は日高町産湯海水浴場のように、海水浴場の指定は受けていないが、海岸線沿いには旅館やしゃれたカフェもあり、親水エリアのあるレジャースポットして知られている。ただ、波に伴う海岸の浸食が進んできた上に、海岸線道路が幅員2.5~3㍍と狭く乗用車の対向もできないなど不便だった。
 整備工事は平成23年度から事業化し、設計を行った。以後、海岸沖の「潜堤」を2カ所(いずれも延長75㍍)に整備。海岸線道路から海に向かって突き出す「突堤」も2カ所(延長40㍍と90㍍)に建設し、潜堤と突堤で海岸を囲うようにして砂の流出をブロックした。さらに流出しにくい形状をした山口県の砂を取り寄せ、約3万立方㍍分を搬入した。このほか、海岸線道路(延長306㍍)を幅員7㍍に拡幅。センターラインは引いていないが、乗用車同士の対向もらくらく。拡幅に伴い、道路沿いの防波堤護岸(高さ4.7㍍)を海側に移動して整備した。今回の工事で、衣奈海岸の砂浜の延長は約300㍍、面積は2万3000平方㍍(産湯は約7万平方㍍)を確保している。現在、現場では砂浜部分の整地が仕上げの段階。当初、完成はことし10月末を予定していたが、地元旅館などの意向もあり、今夏から利用できるよう完成時期を前倒しした。総事業費8億円のうち、国が2分の1、県が4分の1を補助。