さまざまな社会問題や政策の賛否などについて同意する人の名前を集め、政府や地方自治体などに訴えようと、個人や各種団体が行う署名運動。集まった人数が多いと一見、すごいように思うが、人数による〝説得力〟についてはやや疑問。中には、知人や友人、会社の上司から「ちょっと名前書いといてよ」と言われると、内容もよく見ずに署名する人もいるからだ。しかし、真にその思いを署名という形で訴えたい人も当然いるわけで、こういった運動で集まった署名はやはり〝重み〟のあるものとして受け止めるべきである。
 先日、日高町議会が同町憲法9条の会から提出された「海外での戦争行為につながる法律の改定を行わないことを求める意見書」の請願を不採択にした。「地方議会で法律改定に意見を言うのは好ましくない」との理由。ただ、請願には町民1332人分の署名が添えられており、「署名に込められた反戦の思いを国に伝えることが大切」として、総務福祉常任委員会が「国際平和支援法案と平和安全法制整備法案の慎重審議を求める意見書」を提出。先の請願の紹介議員も含めて満場一致で可決された。9条の会でも「署名を重みのあるものとして受け止めてくれた」としており、今回、議会側の〝名采配〟と言えるのではないだろうか。
 全国的にみれば、宮崎県の常任委員会が安保関連法案について「慎重審議を求める意見書」の提出さえも不採択にしたが、筆者としては戦争につながるかもしれないという不安を抱く国民がいる中で、慎重審議は当然必要だと思う。国会会期の9月下旬までの延長は賛否もあるが、この際、十分な審議を尽くしてほしい。  (吉)