県は、今後20年間の日高川本流や支流の整備計画を示した「日高川水系河川整備計画」の原案を明らかにした。計画は平成15年の台風10号や平成18年の豪雨洪水と同規模の災害が発生した際、河川による家屋浸水被害が発生している地域を中心に対策を講じる。
 主な対策個所は日高川本流と、支流の西川、下川、斉川・堂閉川(どうべがわ)の合計4カ所。日高川本流では川幅を広くするため堤防を内側に引いたり、川底を掘削して流れやすくする。下川では18㍍道路の地下を通る水路を整備する大規模な計画で、河川の細さが問題となっている堂閉川ではバイパスとなる川を新たに整備し、流れを二手に分ける。
 県の資料によると平成14年以降豪雨や台風により、下川で多くの家屋が浸水被害に遭っている。平成15年は43件、18年は45件と22件、23年は37件の床下浸水が発生し、23年は床上浸水もあった。堂閉川では件数は少ないものの平成元年から幾度となく発生している。
 浸水といえばこれらの家屋被害はもちろん深刻だが、筆者の生活圏で言えば西川につながる東裏川などの影響による日高町荊木から市内湯川町富安にかけての国道42号、また美浜町から御坊に通じる県道や農免道路の冠水による交通への影響が印象に強く、何度か迂回させられたことを思い出す。計画策定へ住民らの声を聴く「日高川を考える会」では、道成寺周辺での浸水で「観光客にあきれられた」との意見もあった。
 計画は本年度中の策定を目指している。河川改修だけで完全に解消されるとは限らないが、家屋に加え、交通、観光などと大きな影響を与える浸水被害。一刻も早い解決を願いたい。    (城)