車を運転中、他の車が道を譲ってくれればうれしいものだ。ただ譲られた人が好意に応えるために焦って注意を怠ってしまう時があり、事故につながる可能性もある。「サンキュー事故」という呼称もあるくらいで、やはり譲られた方が「早く行かなければ」という心理が働くことで注意力が散漫になってしまうのだという。
 車同士だけなく、車と歩行者でも同じことがある。走行中、前方の横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいたため、手前で停車した。歩行者はこちらに会釈をしながら小走りで進んだのだが、その間に反対車線の車が止まる気配なく近づいて来ていた。結局、手前で止まったのだが、歩行者はこちらに気を取られて、反対車線は目に入っていなかったようだ。
 横断歩道の歩行者優先は道路交通法で定められている。車両が横断歩道へ接近する際は明らかに人がいない場合を除き、直前で停止できる速度で進行し、横断者がいる場合は停止し、通行を妨げないようにしなければならない。違反すれば反則点数と罰金もある。ただ、いま一つ一般に浸透していない感は否めない。以前も横断歩道前でパトカーが停車しているにもかかわらず、反対車線を車が何台も走り去っていき、パトカーのスピーカーから「止まれ」と怒鳴り声が聞こえていたくらいだ。
 横断歩道付近にいるからといって横断者かどうかの判断は難しく、またこの日高地方では横断者自身も優先という意識があまりないように感じる。そんな中、停車するのは後続車にも気を使うところだが、自動車という危険な乗り物を使うものとして歩行者の安全を守るのは当然の義務。「横断歩道は歩行者優先」。このことを頭に入れて運転を心がけよう。    (城)