美浜町の森下誠史町長と鈴川基次町議会議長がカナダを訪問し、BC州和歌山県人会の創立50周年記念式典に出席した。県人会の役員らは高齢化が進み、日系移民の孫やひ孫の世代は日本に対する意識も薄れつつあるなか、互いにつながりを切らしたくないという思いを確認。森下町長は美浜の子どもたちに移民の歴史を教えることを約束し、ふるさと納税の返礼品にカナダで作られる鮭の缶詰め等の活用などを提案した。
 ことしは「カナダ移民の父」と呼ばれた三尾出身の工野儀兵衛が海を渡って127年、BC州県人会が発足して50年。森下町長と鈴川議長も三尾生まれの三尾育ちで、今回は仁坂吉伸知事や中村裕一県議、花田健吉県議らとともに招待を受けて記念式典に出席した。
 母親が三尾出身の県人会の水田治司会長(82)は「127年前、工野儀兵衛がカナダに来て以来、和歌山県人はスティブストンを拠点にBC州全域で活躍し、県人会もバンクーバーを中心に発展してきた。先輩たちの業績はわれわれが大いに誇りとし、BC州、ひいてはカナダにおける日系人の歴史に残るだろう。これからも、次の世代の人たちに日本、和歌山のよさを継承してもらうべく努力したい」とあいさつ。森下町長は、戦争などさまざまな苦難を乗り越えてきた現地の人たちに敬意を示し、「美浜町でも小中学生には地元の歴史教育という面で、カナダへの移民の歴史を伝え続けていきたい。今後ともBC州と和歌山、美浜の結びつきが続くことを願う」と祝辞を述べた。
 水田会長ら県人会の活動の中心となる役員はみな80代、90代と高齢化が進み、移民の孫やひ孫の若い世代は日本語が分からず、日系人としての意識や日本への関心も薄れているのが現状。森下町長と鈴川議長らはカナダの県人会も交流継続を願っていることを確認し、互いの社会の入学式や成人式等での祝辞の交換、私的な訪問時のホームステイの受け入れなどについて意見を交換した。また、美浜町のふるさと納税の返礼品に、カナダで作られるメープルシロップや鮭の缶詰、数の子などの活用も提案、双方で検討することになったという。