著しく危険性の高い業務において精励した人をたたえる第24回危険業務従事者叙勲(29日付)の受章者が決まり、県内は元警察官や自衛官、消防隊員ら32人が選ばれた。日高地方からはただ1人、警察功労で元県警警部の小松芳彦氏(70)=御坊市野口=が瑞宝単光章を受章。38年6カ月にわたる事件検挙や事故抑止の功績が認められた。5月中に各省庁で伝達されたあと、喜びの拝謁が行われる。
 子どものころから「警察官は正義の味方」と憧れていた小松さんは、高校卒業後に一度は民間会社に就職したものの、1年余りで退職して警察官の採用試験に挑戦し合格。昭和39年10月、20歳で拝命した。警察学校で勉強し、翌40年10月から和歌山西署に配属され、5年ほど交番勤務したあと同署で刑事を10年経験。殺人や強盗、放火など重大犯罪の捜査に寝る間を惜しんで奔走した。忘れられない事件は数々あるが、空き巣が続発していたとき、張り込みで取り押さえた犯人が余罪80件以上の大泥棒だったこと、これとは別に、鑑識係ではなかったが現場で採取した指紋がきっかけで犯人を特定、検挙したことはいまでもよく覚えているという。西署を出てからは妙寺署、有田署、湯浅署で地域課の若手の指導係、交通規制係、交通取り締まり係などさまざまな仕事を歴任。御坊署には平成4年から6年間、交通課で取り締まりを中心に勤務し、いったん田辺署に移ったが、最後の1年も御坊署で勤務し事故捜査係で現場検証や交通事故捜査に携わった。
 「『恐れず、憎まず、とらわれず』をモットーに住民の安全を守るため、組織の一員として責務を果たすために励みました。長くもあり、短くもあった38年余りでした」と振り返り、「辛く苦しいときもありましたが、住民からの『ありがとう』の言葉にやりがいを感じ、どんな係でも誇りと生きがいを持って勤務できました。上司、先輩、同僚、後輩、家族、地域住民ら多くの人の支えと協力のおかげです」と感謝。現在は地元下野口区の自主防犯・防災隊のメンバーでもあり、「これからもできる範囲で少しでも社会の役に立てればと思っています」と話している。