NPO法人エコキャップ推進協会(神奈川県横浜市)が平成25年9月以降、ペットボトルのキャップをリサイクルした売却益をワクチン代として寄付していなかった問題が全国紙などで報じられたことで、日高地方でもキャップ回収に協力してきた各種団体から戸惑いや驚き、怒りの声が上がっている。情報がはっきりしない中、「真意はどうか」「本当なら裏切り行為」などの声で、今後協会側の説明と対応が注目されている。
 ペットボトルのキャップは860個集めればポリオやはしかなどのワクチン1人分になるとされており、同協会では、平成19年から本格的にキャップの回収をスタート。全国的に各種団体が協力している。こうして集まったキャップはまず同協会がリサイクル業者に販売して売却益を得て、その一部から寄付を受けたNPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会」が実際にワクチンを購入して途上国に届ける仕組みとなっている。一部報道によると、これまで協会側から委員会に対して24年は2700万円、25年は8月末までに3500万円の寄付があったが、その後現在まで1年8カ月にわたり寄付が途絶えている。協会側には25年9月から26年8月末までにキャップの売却益など9000万円の収入があったことも報告されている。また、協力した団体に対してはことしに入ってもワクチンへの活用を示す受領書を渡している。
 日高地方でも多くの団体が賛同しており、市内保育園に協力を呼びかけて22年3月からことし2月26日までにキャップ延べ291万5250個(ワクチンで3488人分)を寄贈したJA紀州で、当初から担当していた職員は「真意を徹底的に調べてほしい。もし寄付に使われていないなら非常に残念。子どもたちに対する裏切り。場合によっては今後の協力を打ち切りたい」と怒り心頭。生徒会発案で平成20年度から約12万個を集めた紀央館高校の兒玉佳世子校長は「事実ならびっくり。生徒たちはキャップを集めることで途上国の子どもが救われると信じていたのでショックを受けると思います。きちんとワクチンに交換するよう改善してほしい」とコメント。御坊市と美浜町内の11郵便局は昨年5月にキャップ6万個を贈っており、御坊財部郵便局の武井寿樹局長は「以前、寄贈する団体は分裂したと聞いており、私たちがキャップを贈ったのは最初からある団体の方。その団体が今回の問題になっている団体なのかどうかまだはっきり分からず、様子を見ながら対応したい。もし問題の団体ならせっかくの善意が無駄になる」と戸惑いを隠せない様子だ。