みなべ町議会産業建設常任委員会(下村勤委員長)は開会中の定例議会最終日(26日)に、委員会発議で梅干しの消費を推進する「みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例(梅干しでおにぎり条例)」を提案する。全国でも初めての試みで、梅の消費を促し、低迷している梅産業の振興につなげたい考えだ。近隣の田辺市でも昨年末に梅酒の消費を奨励する「梅酒で乾杯条例」を制定しており、梅の主産地の取り組みが相乗効果を生み出すことも期待したい。
 全国的に消費量が減少しているのは梅だけでなく、魚も同じような境遇にあるようだ。以前の日本人は多くの魚介類を摂取していたが、年々徐々に減少。近年は肉類の摂取が魚介類の摂取を上回っている状況で、漁業関係に大きな影響を与えている。
 港町の兵庫県香美町も魚の消費低迷に悩む自治体の1つで、昭和50年代には年間3万㌧だった漁獲量が7000㌧に減った。漁獲高も100億円から35億円に低下したという。対策として、ことし2月に魚介類の消費を促すために「魚食の普及の促進に関する条例」を制定。以後、学校給食に「とと(魚)の日メニュー」を取り入れたり、魚料理教室や「ととフェス」などのイベントを開催したりしている。
 消費拡大を奨励する今回の条例には罰則などはない。それだけに住民の積極的な協力が必要。梅干しでおにぎり条例を消費の拡大につなげることができるかどうかは、町民が条例の趣旨に対して高い意識を持ち、民間と行政が協力し合える体制ができるかが大きなポイントとなる。地域ぐるみで取り組んでいかなければならない。       (雄)