24歳の若きプロテニスプレーヤーが日本を沸かせている。もちろん、錦織圭選手だ。スポーツに関してはすぐに熱くなる日本人も、これだけのフィーバーはそうそうない。それもそのはず、テニスの4大大会の一つ、全米オープンで日本人で初めて決勝の舞台に立ったのだから当然だ。テニスに疎い筆者でも4大大会は知っている。失礼ながら、日本人が優勝をかけて戦うときが来るなど想像すらしなかった。強豪ひしめく外国人勢にかなうわけがないと思っていたからだ。歴史の扉を開いたと同時に、多くの日本人が持っていただろう先入観という壁をも取っ払ってくれたようで、すがすがしい気分にさせてもらった。決勝は残念な結果になったが、まだまだ次がある。
 大手新聞の報道によると、幼稚園のころ、テニスの試合で小学1、2年生に負けたことが悔しくて泣きやまなかったというエピソードが紹介されていた。なるほど、あのさわやかな笑顔とは別に、負けん気の強さは筋金入りなのだろう。その根性がいまの強さの源だろうか。加えて想像を超える厳しい練習を乗り越えてきた結果だろう。テレビでは試合の華々しい部分しか見えないが、努力なくして成長はない。努力に勝る天才はないのだ。
 錦織選手の小学校の卒業文集には、世界一になると書かれていた。卒業文集といえば、サッカーの本田圭佑、野球のイチロー、ゴルフの石川遼と、世界で活躍する選手は皆、小学校のころから将来の夢に向かって努力することをつづっている。4人に共通するのは、子どものころからの目標に向かってまっすぐ突き進んだことだろう。クラーク博士の言葉を借りて、いまこそ「少年よ、大志を抱け」。    (片)