第96回全国高校野球選手権大会は25日、大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた。「逆転の夏」を象徴するかのように、決勝も大阪桐蔭が三重を終盤の逆転劇で下し、日本一に輝いた。
 大量点をひっくり返すなど「まさか」と思うような試合が観客を魅了したのは間違いないが、それぞれの特長を生かした戦い方で勝ち上がっていくチーム、それに個性的な選手がいたというのも盛り上がった要因の一つだろう。チームとしては、初戦から3試合連続二けた得点の猛打を発揮、準決勝で大阪桐蔭と壮絶な打ち合いを演じた敦賀気比、「機動破壊」を合言葉に盗塁を重ね、相手守備陣をほんろうした高崎健康福祉大高崎などが印象的。選手では闘志を前面に押し出して投球する東邦の1年生右腕、球速計測ができないほどの超スローボールで話題を集めた東海大四の小さな3年生エースらが記憶に残っている。地方予選で注目選手のいる強豪が次々と姿を消したが、そんなことはまったく感じさせなかった。
 大阪桐蔭は昨秋、ことしのセンバツで準優勝した履正社にコールド負けの屈辱を味わったところから巻き返した。履正社には大阪大会でリベンジを果たすと、甲子園では初戦と準々決勝から決勝までの計4試合で逆転勝ちをおさめた。1大会4度の逆転勝ちで優勝を飾ったのは14年前の智弁和歌山以来6度目。前回優勝した2年前は相手に1度もリードされずに圧倒的な強さで勝ち上がったが、今回はまったく違った形での全国制覇となった。負けた悔しさをバネに必死に頑張ったから成長し、最後まであきらめずにプレーしたからこその逆転勝ち。高校野球の素晴らしさを存分に見せてもらった夏だった。    (賀)