筆者は「花よりだんご」のタイプで、旅行は観光より食事が一番の楽しみだ。その土地のおいしいものを味わうのは、旅行の醍醐味。旅先で口にした料理がおいしければおいしいほど、旅全体が一段と素晴らしくなる。ところが、後になって、献立に国産と書かれていた肉料理が外国産だったり、鮮魚と表記されていた魚料理が冷凍だったことが分かったらどうだろう。食事だけでなく、旅そのものにけちがつけられてしまう。
 食材に対する偽装、誤表記の問題が後を絶たない。先日、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどの専門店が、ブランド牛ではない和牛を「松阪牛」として提供していた。昨年も話題になったが、普通の野菜をオーガニック野菜としたり、北海道産としていたボタンエビがカナダ産、京地鶏がブロイラー、シャンパンがスパークリングワインだったり。例えそれが悪気がなかったとしても、消費者側は望んでもいないものを食べさせられ、料金を払ったことに変わりはなく、だまされたも同然。この手のニュースを見るたびに腹立たしい気分になる。
 我々、消費する側も食に対する知識をもつことが必要だが、献立の表記はまず疑わないし、その先入観をもって食べるので、うそや間違いを見抜くことは困難だ。提供する側を信頼するほかない。偽装、誤表記が発覚した提供者は食事代返金などとしているが、旅行は食事優先で行き先を決めることも、食事のためだけに遠出することもある。消費者感情を言うなら食事代返金はもちろん、交通費もお願いしたいものだ。これらの問題について罰則を厳しくすることも望みたいが、とにかく消費者を裏切ることだけは本当にやめていただきたい。  (昌)