今月10日の台風11号は、日高地方にも大きな爪痕を残した。この日は日高川町皆瀬の自宅から御坊市に出てきて河川の氾濫などを撮影。大層なことは言わないが、一枚の写真が今後の災害対策や住民の危機意識向上につながればと思っている。
 ところがこの時ばかりは少々後悔した。というのはまず朝の行き道。一番天候がひどい時間帯で、車の前が見えない暴風雨。株井峠では折れた枝がフロントガラスに直撃した。そしてさらに問題は帰り道。早藤の県道御坊美山線では側溝の水があふれて池状態。車が一瞬浮いて停まりそうになった。なんとか株井峠まで来ると、崩土で全面通行止め。仕方なくかまきりトンネルを抜けて下田原、三十木の迂回ルートを通ったが、日高川右岸の近道は通行止め。左岸をいくと道の横の法面から小石がごろごろ、水もじゃぶじゃぶ。日高川の激流が道路のすぐ下まで迫っているし、かなり怖かった。何とか切り抜けて「もう二度とあの迂回路は通りたくない」と思っていると、原日浦の県道御坊美山線も崩土で全面通行止め。おりしもダムの放流量がどんどん増え、3年前の台風12号で被害を受けた自宅の心配も強まる中、万事休すの気分でうなだれていると、建設業者が危険を顧みず復旧作業。なんとありがたいことか。近年、不況で倒産するところも多い建設業者の支援、育成は、災害対策の観点から行政の重要な施策であるとあらためて言っておきたい。
 そんなこんなで自宅に到着。幸い被害もなくひと安心だが、次からは状況をよく判断して災害の取材に出掛けるようにしようと思う。啓発する立場のマスコミが、自分の認識不足や不注意で被害に遭うようでは説得力も何もない...。  (吉)