「子どもたちには、応援してもらえる選手になりなさいというし、なってほしいと願っている」。先日、小学生のスポーツクラブを指導する人から、こんな言葉を聴いた。「応援してもらえる選手に」とは、ただ単にかっこよくて人気者になるというのではなく、いろいろな意味がある。
 まず練習から手を抜かずに一生懸命で、試合に出場すれば最後まであきらめずに全力を出し切ること。マラソンでは脱水症状や足の故障などでいまにも倒れそうになりながら完走を目指す選手に、沿道から大きな声援が送られているのをよく見かける。取り組み姿勢がまじめでなければ、なかなか応援してもらえない。それから日ごろの生活態度も重要になる。きちんとあいさつができているか、約束を守れるか、他人に迷惑をかけるような行為をしていないか。競技、生活両面がそろってこその「応援してもらえる選手」だろう。
 取材で芸能人やスポーツ選手に接する機会が多い。なかにはテレビで観るのと全然違って、態度の悪い人もいる。地方紙の取材なんて受けたくないのか、いかにもだるそうに「もういいですか」とそっけなく対応されたこともある。スポーツのどんな一流選手でも大人気の芸能人でも、ユニホームを脱いだり舞台から降りたりすればただの人。社会人として未熟なら、そのうち誰も相手にしてくれなくなるだろう。
 4万7000人の大観衆が集まる甲子園をみていれば分かると思うが、応援は選手たちにとっては大きなパワーとなり、活躍するためには必要。小学生の子どもが理解するのは難しいが、指導者の大人なら分かるはず。どんどん「応援してもらえる人」を育てていってもらいたい。   (賀)