脱法ドラッグの新しい呼び方が「危険ドラッグ」に決まり、真っ先に思い浮かんだのが昨年発表された振り込め詐欺などの新名称「母さん助けて詐欺」だ。はっきりいって母さん助けて詐欺の言葉を見聞きしたのは、この発表のときだけだ。その後どのように使われているのか、さほど興味もないが。さて、危険ドラッグに関しても早速、賛否の声が出ているのも分かるような気がする。公募作品から選考されたようだが、落選となった「廃人ドラッグ」などの方がピンとくると思う。そもそも脱法という言葉が法の隙間をくぐり抜けているイメージが強かった。県のホームページではしっかり「違法ドラッグ」と表記されている。これが正しいだろう。
 脱法ドラッグとは何なのか、はっきり理解している人がどれほどいるだろうか。そのあいまいさこそが問題だ。結局、脱法や合法というのは販売する側の甘い誘い言葉で、覚せい剤などと同じような成分が含まれている違法なものが多いのが現状だろう。使用すれば幻覚作用が起こるほか、嘔吐やけいれんといった中毒症状も出る。車を運転して事故を起こしたり、救急搬送されるケースが全国的に後を絶たないのが何よりの証拠だ。
 東京の繁華街で車を暴走させて1人を死亡させた男が、運転席でよだれをたらしていた映像は衝撃的だった。まさに廃人ドラッグを連想させた人も多かっただろう。呼び方は何にせよ、使えばあんな風になってしまうのが現実だ。インターネット社会のいま、どこで起こってもおかしくない事件。子どものうちから危険性を教育することが大事だろう。呼び方にこだわるよりも分かりやすい教材作りが先決だ。   (片)