県が印南町高串地内で進めている切目川ダムの本体工事は、水をせき止めるための堤体のコンクリート打設が完了し、大きな白い壁が姿を現した。今後はダム湖内の伐採や周辺の整備を進め、並行して試験湛水も実施。平成27年度からの供用開始を目指す。
 計画しているダムは高さ44.5㍍、集水面積は21.9㌔平方㍍で、総貯水容量は396万立方㍍。日高川町の椿山ダムのようにゲートを使って人為的に放流するタイプではなく、28㍍地点に2カ所ある幅2.8㍍、高さ2.9㍍の「常用洪水吐き」という穴から水を自然に流すことで、水量を調整し洪水を防ぐ「自然調節方式」。利水や干ばつ対策としては、常用洪水吐きより下にある取水口から水を流し、調節する。
 工事は、まず川の流れを変えるため山中をショートカットするように造られた全長189㍍、高さ3㍍、幅3㍍のトンネル(転流工)をつくり、平成24年2月に流れを切り替えた。同年6月からダム本体を建設するため両サイドの山の荒掘削に取り掛かり、昨年2月からコンクリートの打設をスタート。同年6月には仁坂吉伸知事や国会議員、県議、地元関係者らが出席し、定礎式を行った。
 現在はダムの本体となる堤体ができあがり、堤体上部の堤頂施設やダム湖となる場所の伐採作業、ダムの前面となる河川の整備などを行っている。今後も引き続き工事を進め、並行してダムに問題がないかをチェックするための試験を行い、27年度から供用開始となる。
 ダム本体工事の事業費は約28億5000万円で施工は熊谷・淺川・尾花特定建設工事共同企業体が進めている。