みなべ町晩稲、㈱紀州ほそ川の細川清会長の二男、細川達矢さんが代表を務めるワノミライカ㈱(晩稲)が製造・販売している梅抽出物「UMULIN」が、不妊治療に効果があることが、神戸で開かれた日本卵子学会で発表された。発表者は臨床試験で効果を確認した和歌山市の産婦人科医で、不妊治療に用いられるサプリメントと併用することで難治性不妊患者が妊娠できたという。
 発表したのは、和歌山市の「うつのみやレディースクリニック」の宇都宮智子院長。5月17・18日に神戸市で開かれた学会で、不妊治療を行う前に性ホルモンの材料として使われるサプリメント「DHEA」と、ワノミライカが梅酢から抽出して開発したUMULINを併用することで、難治性の不妊治療に効果があったことを報告した。
 宇都宮院長は、県立医大で体外受精などの不妊治療と研究を続けてきたあと平成22年に独立開業。今回の発表によると、以前から体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を受けてきたが、妊娠できなかった難治性不妊患者16人(33歳~43歳)で臨床試験を実施。何も服用しないで生殖補助医療を行った場合は15人が妊娠できず、妊娠できた1人も早期流産という結果だった。そこで妊娠できなかった人のうち参加した14人にDHEAだけを2カ月間服用してもらってから補助医療を施した結果、半数の7人が妊娠した。DHEAだけでは妊娠できなかった7人のうち試験参加の6人を対象に、さらに2カ月間、UMULINを含んだ飲料とDHEAの両方を服用してもらってから医療を行うと、4人が妊娠できたという。宇都宮院長は、効果について「DHEAとUMULINの服用で卵子の老化を抑止したことが妊娠につながった可能性がある。卵巣の老化による卵子数の減少、卵子の健康状態の低下が不妊治療の大きな障害となっている中、今回の結果は画期的。今後の治療成果に大きな期待を寄せている」としている。宇都宮院長の夫で梅の効能研究でも知られる県立医大の宇都宮洋才准教授のグループが、現在、細胞レベルでの試験で詳しい作用の解明を進めている。
 UMULINを開発したワノミライカの細川代表は「梅の需要が減っている中、新たな使い道が開けることにつながる。これが梅産業を盛り上げるきっかけになってくれればと思う。体のほかの部分の治療などにも活用できる可能性があるのではと期待しています」と話している。UMULINに関する問い合わせは細川代表へメールで連絡すればよい。アドレスはinfo@wanomiraika.com