プロゴルファーの松山英樹が日本人で4人目、その最年少となる22歳でアメリカツアー優勝を飾った。少し前には、まだ15歳のアマチュア、勝みなみが国内ツアーを制し、こちらも女子プロツアー最年少記録を更新。人気者の石川遼、宮里藍も頑張らねば。
 勝みなみといえば、まさかのおにぎりショットに笑わされたが、クラブの握り方がベースボールグリップということでも話題。飛距離は出るが、利き腕の力が入りすぎやすく、プロではこの握りの選手はほとんどいないという。
 テニスの錦織圭も好調で、王者ナダルを追い詰め、ランキングは一時9位まで躍進した。彼のプレーがどれほど我流なのかは分からないが、世界で活躍する日本人選手を見ていて、宮本輝の小説のテニスの話を思い出した。
 どんなスポーツも、グリップやスイング、練習方法などに基本の形がある。それはしばしば「王道」という言葉で表され、指導者は徹底してそれを教え込む。選手はやがて力をつけ、理にかなったきれいなプレーをするようになる。が、見たこともない変則フォームで、予測不能の動きをする選手に苦戦、負けることもある。
 王道に対しての「覇道」。イチロー、野茂もしかり、監督やコーチに否定されてもスタイルを変えず、結果で周りを黙らせた。一見、突飛で型破りな技も、虚仮の一念、それを極めれば王道となり、自分よりキャリアも実力も上の者を負かすことができる。
 日露戦争を決した日本海海戦では、東郷平八郎率いる連合艦隊が王道の丁字戦法の上に、敵前大回頭という覇道をもってバルチック艦隊を撃ち破った。スポーツでも、基本の上に我流を極め、非力な日本人が巨漢の外国人を倒すのはたまらなく痛快。さて、W杯やいかに。  (静)