御坊署は、管内の過去3年間の交通犠牲者15人のうち、高齢者が道路横断中に車にはねられたケースが4割にのぼることから、ドライバーへのマナーアップ推進を強化していくことを決めた。横断歩道での一旦停止の監視や取り締まりを展開し、「人優先の安全運転」の徹底を強力に推進。事故が増える夏場へ向け、同署ではポスターも作成して関係機関に配布しており、思いやり運転の実践で死亡事故ゼロを目指していく。
 平成23年から25年の3年間、管内で発生した死亡事故は15件で15人が犠牲になっている。このうち歩行者が道路を横断中に車にはねられたのが6件で死者6人、全体の4割を占めている。6件中2件は横断歩道を横断中で、死者6人は全員が65歳以上のお年寄りだった。県内でも同様の傾向で同じ3年間で151人の交通死者のうち歩行者は42人で全体の約3割となっている。このような状況の改善へ、同署ではドライバーの意識改革を最優先課題として取り組んでいくことにした。
 道路交通法では「横断歩道での歩行者の優先」が規定されているが、同署が行っている交通監視等では横断しようとする歩行者がいても一旦停止する車は少ないのが現状。マナーを守らないドライバーが増えれば重大事故が起こる確率も高まることから、今後は横断歩道付近での一旦停止の徹底へ関係機関と連携した監視と、歩行者妨害の取り締まりも強化していく。
 啓発ポスターは日高振興局や各市町の交安関係団体でつくる交通事故をなくする県民運動日高地方推進協議会と連名で作製。横断歩道を渡ろうとする歩行者の前を通り過ぎるドライバーに「本当にそれでいいのですか」と呼びかける内容で、役場など関係機関に配布して張ってもらうことにしている。同署の筧一郎署長は「一旦停止の率先者となってほしい。そうすれば輪が広がり、事故減少につながる。みんなで思いやりの運転を実践しましょう」と協力を呼びかけている。