中央紙に会社の珍しい取り組みや制度を紹介する連載があり、いつも読ませてもらっている。先日は社員のモチベーションがアップする「人事制度」が取り上げられており、実に面白いと感じた。
 飲食店などのお試し予約サイトを運営する会社の人事制度。記事によると、「同僚のいいところを見つけ、その人にバッジをあげる」という方法で社員の評価につなげる。バッジは計20種類、1カ月につき他人に贈れるのは一般社員が20個、経営陣は40個まで。「絆」「熱血」「アイデア」などがあり、結果だけでなく仕事への取り組み姿勢なども対象になる。半年に1回の査定で昇給や昇格に影響する。幹部や上司以外にも全同僚が評価を行うため、高い公平性が保たれるというのが長所。どこかで聞いた、「ありがとう」と感謝の気持ちを互いに示し合える会社は業績がいいという話を実践しているかのようで、実際に同社でもたくさんのバッジを獲得した社員が多いほどその部署は高い売り上げを記録しているらしい。
 3年ほど前、観光施設に宿泊した際、チェックイン時にコインのようなものを配布され、サービスがよかったと思う従業員へ渡してもらえるよう求められた。いま思えば、それも人事評価の制度だったのかもしれない。上司だけでなく顧客の視点も自分の評価に加わればより一層気が抜けなくなるが、やりがいは増すだろう。
 モチベーションが上がると、人が変わったような働きを見せるというのはよくある話。幹部も上司も同僚も関係なく感謝の気持ちを表したり、きちんと長所を褒め合えるようになるだけで組織は変わる可能性がある。できることから実践してみようと思う。  (賀)