本社では、11月から年賀状印刷の営業を全社員で取り組むのが恒例となっている。親戚、友人、取材先、近所などでお願いし、ノルマの達成へあの手この手で奮闘する。
 平成8年の入社。当時と比べてパソコンが格段に普及している。さらに自分自身も3年前に結婚するまでそうだったのだが、若者には年賀状を送るという習慣がそもそもなく、メールなどで新年のあいさつを済ませる人たちが多くなり、年賀状印刷の営業は年々厳しさを増している。例年通りの顧客だけを回っていてもジリ貧状態に陥り、成績は右肩下がり。前年度の数字を維持しようと思えば必ず新規の顧客がかなり必要になり、頭を悩ませなければならない。
 成績を伸ばす特効薬なんてものはないが、常々心がけていることがある。取材と同じように営業へ行くと、それとなくお客さんの声を聞くようにしている。日ごろからのお付き合いで大切にしてもらって注文してくれる人がいれば、お年寄りの場合は内容の確認から配達まですべてやってくれるのがありがたいという声もある。そういう人たちをターゲットにすれば新たな顧客獲得につながるのだろうと次の営業に役立てられる。自分の会社の売りは何か、お客さんの望んでいるものは何か。両方をマッチさせることが一番重要なことと勉強になる。
 以前、POP研修の取材で、ただ単に「○○をやっています」と商いの種類だけをアピールしても、ほとんど成果が上がらないとの話を聞いた。どんな商売でも同業者なんて無数にあり、その中で顧客を獲得しようと思えば他社との違いを鮮明にアピールしなければならない。年賀状印刷の営業の中にも、売り上げ増のヒントは隠されている。 (賀)