財団法人日本青年会館の第62回全国民俗芸能大会「北から南から~感動は今、時を超える!~」が23日に東京都新宿の同会館大ホールで開かれ、御坊市から地元有志でつくる戯瓢(けほん)踊保存会(原多美男会長)が出演。けほん踊りを古来の風流さながらに披露し、関係者から高い評価を受けた。関東で踊られるのは初めてで、御坊の伝統文化を発信する絶好の機会となった。
 同大会は全国各地の伝統芸能を紹介、保存していこうと毎年恒例。ことしは戯瓢踊保存会のほかに、福島県広瀬熊野神社の御田植、山梨県一之瀬高橋の春駒、福岡県の豊前神楽も出演した。戯瓢踊保存会は会員ら19人が参加。和歌山県無形文化財第1号のけほん踊りは、御坊市の小竹八幡神社秋季祭礼「御坊祭」で奉納される踊りで、花笠をかぶって奴じゅばんに腰巻姿でひょうたん、太鼓、鼓、鉦(かね)を持ち、踊り歌をうたいながら向かい合ったり、輪になったりして踊る独特のスタイルを披露した。同大会の式典の部では各出演団体に伝統文化の保存と継承をたたえ、文化庁長官と主催者の感謝状や出場記念旗も贈呈された。原会長は「400年以上の歴史を持つけほん踊りを関東で踊るのは初めてのことで、プレッシャーもありましたが、誇りを持って踊ってきました。会員自身がこれからも伝統芸能を継承していこうという意識が一層高まりました」と話している。
 また、原会長と玉置昇吉副会長は27日に市役所を訪れ、柏木征夫市長に大会出場を報告。柏木市長は「こういった活動を一歩一歩進めることが御坊の名を全国に広めてくれることにつながる。地元の伝統芸能を引き継いでくれていることにお礼をいいたい」とねぎらった。
 けほん踊りの踊り手は、本来、小竹八幡神社の氏子組である御坊町の50歳以上の男子に限られていたが、氏子意識の低下などで昭和33年を最後に中断。41年に踊り手をすべての青年男子の氏子から広く募って保存会が結成され、現在まで継承されている。ただ、再び会員の高齢化が進んでおり、原会長は「若者にもぜひ参加していただきたい」と呼びかけている。