仁坂吉伸知事が3日、美浜町のダイワボウプログレス㈱和歌山工場(元田尚利工場長)を訪れ、かつての繊維製造技術を生かした土木資材等の製造工程を視察した。同工場は4年前に紡織生産設備の稼働を停止し、現在は土木用の排水資材やトンネル防水シートの生産工場に転換。仁坂知事は「需要の多い製品を作っていただいてありがたい」と、大和紡績時代から続くノスタルジックな三角屋根の工場を興味深く見て回った。
 ダイワボウプログレス和歌山工場は、大正14年に日出紡織㈱松原工場として創業。昭和16年に日出紡織、錦華紡績、出雲製織、和歌山紡織の4社が合併、大和紡績が誕生し、平成になってからは新たな事業展開を図りつつ、ダイワボウマテリアルズを経て昨年1月、産業資材製造のダイワボウプログレス和歌山工場となった。従業員数は協力会社を含め50人。約6万9000平方㍍の敷地に工場の建屋面積は約3万4000平方㍍あり、うち現在は3分の1の施設で製品製造の設備が稼働している。
 ことし6月の県議会一般質問で中村裕一議員が同社の土木資材製造技術の高さを取り上げ、県の道路やトンネル工事だけでなく、国や高速道路会社にも同社などの県産品を使用してもらうよう関係機関に働きかけることを提案。あわせて、機会があれば工場を視察するよう求めていた経緯もあり、今回、インド訪問直前の多忙な日程を調整のうえ、訪問が実現した。
 工場ではダイワボウプログレス本社の岩城宏之産業資材営業部長と元田工場長が、コンクリートが劣化しないよう湧き水を通さないトンネル防水材、工業用水ろ過のカートリッジフィルターなど主力製品の特徴、製造方法などを丁寧に説明。仁坂知事は国内外のシェアや競合会社、各製品の需要動向などを尋ね、岩城部長は「土木資材の需要は公共事業の量に大きく左右されますが、東日本大震災の復興が進むなか、東北では宅地造成の現場などで少しずつ使われ始めています。これからも復興が進むにつれ、需要も少し期待できると思います」などと答えていた。