宇宙航空研究開発機構(JAXA)が先日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から新型ロケット「イプシロン」の打ち上げに成功した。分離された衛星は順調に軌道を周回しているという。日本の新型ロケットの打ち上げでは平成13年に行った大型ロケット「H2A」以来12年ぶり。小惑星探査機「はやぶさ」に続き、世界に日本の宇宙技術の高さをアピールした形だ。
 イプシロンの大きな特徴は固体燃料を使用しているということ。開発費は約205億円を要したが、今回の機体は約53億円にとどめた。2年後の27年度に打ち上げを予定している2号機ではさらに低コスト化を進め、従来の約半分となる約38億円に抑えるという。4年後には約30億円以下にしたい考えだ。順調に進むと、低コストで打ち上げられるロケットとして海外からの受注が期待されるという。
 機体表面には全国から寄せられたメッセージが記され、宇宙に対する日本人の期待や願いなどと一緒に宇宙へと飛び立った。開発責任者の森田泰弘さんが打ち上げを終えたあとの記者会見で「とうとう心の底から笑える日が来た」と話したという。
 近年の日本は東日本大震災で壊滅的な被害を受けたほか、経済でも円高による不況など暗いニュースが相次いだ。しかし、最近では2020年のオリンピックが東京開催に決定、円安による輸出企業の業績アップ、富士山の世界遺産登録、野球界ではイチローの4000本安打達成など明るいニュースが増えている。イプシロンに関わった森田さんの言葉のように日本や地方が再生し、国民のみんなが心の底から笑える日が来ることを期待したい。(雄)