朝晩の涼しげな風にようやく秋の訪れを感じられるようになってきた。9月も前半が終わり、日高地方は各地で秋祭りの練習が本格化してきた。それにしても日高には祭り好きが多い。祭りの話になると顔がほころび、わが町、わが組の祭り自慢が始まる。そんな方々と話をしているだけで楽しくなってくる。祭りに参加している若衆もみな、いい顔をしている。五穀豊穣や大漁に感謝するのが始まりで、獅子舞や習わしなどはおそらく長い歴史の中で少しずつ変わってきているだろうが、まちの人が集まり、いい顔をして楽しむ、祭りの本質は昔から変わっていない。
 そんな地域の一大イベントも、少子化、娯楽の多様化で参加人数は少しずつ減っているのは否めない。サラリーマンが増え、とくに地元を離れている人は休みたくても休めないことも要因の一つになっている。奇祭で有名な日高町阿尾のクエ祭も、名物のクエ押しを中止するなど規模が縮小される。いまはまだ大丈夫でも、20年、30年先、祭礼内容の変更を余儀なくされる地域が出てくるかもしれない。そうならないために、いま何ができるだろうか。
 将来、いまの子どもたちが地域を背負って立つのはいうまでもない。祭り好きな子どもたちを増やすことに尽きるだろう。増やすといっても、誰かが誰かに好きになる教育をするわけではないし、口で教えても楽しさは伝わらない。祭りの魅力は見て、聞いて、触れて、感じるものだ。地域を挙げてのにぎわい、楽しそうな大人の表情は子どもたちに伝わるだろう。オリンピックではないが、参加することが祭りを守る。ということで皆さん、ことしも大いに楽しみましょう。  (片)