国は、日本食文化のユネスコ無形文化遺産登録を目指している。自国の食に関する分野をユネスコの無形文化遺産として登録する動きは世界各地であり、これまでにフランス美食術、地中海料理、メキシコ、トルコの伝統料理が登録されている。日本でも和食には栄養バランスの取れた食事構成や多様で豊富な旬の食材、年中行事・人生儀礼との密接な結びつきなどといった特徴があるとして登録を目指し、昨年3月にユネスコに申請を行っており、ことし12月に可否が決定するという。
 そんな中、先日、食文化に関する研究支援と普及・啓発を行っている公益財団法人味の素食の文化センター(東京)が印南町で「印南町の和食文化を考える意見交換会~和食のユネスコ無形文化遺産化活動について知る~」を開いた。講師の奈良女子大学名誉教授の的場輝佳氏は、日本食は「うま味」を用いていることが特徴で、そのうま味の基本となるのが「だし」。そのだしに使うのがかつお節で、発祥の地である印南町が「和食の原点」と強調した。実際、京料理の基本となっている鹿児島県枕崎市のかつお節も、江戸時代に印南の森弥兵衛が製法を伝えたことが始まり。わさびも真妻が発祥なので、少なくともいまの和食文化に大きく貢献しているといえるだろう。
 世界遺産といえばことし6月に登録された富士山。登録後、国内外から観光客が急増した。和食の世界遺産登録にも大きなPR効果が考えられ、日本食に関連する業者などはすでに活動を始めている。「かつお節発祥の地印南町」も全国に広める絶好のチャンス。さまざまな方法でPRを展開していくことが必要だ。  (城)