由良町中央公民館で3日、憲法9条を中心とする平和憲法を守ろうと活動を続けている町内の住民団体「九条の会ゆら」(事務局=池本護さん)が主催の「第9回戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会」が開かれた。町内外から約80人が来場。写真家でことし5月に他界、九条の会ゆらの呼びかけ人でもあった岩崎芳幸さん(享年82歳、阿戸)が撮影、収集した写真や資料計115点がスライド上映され、平和への誓いを新たにした。
 スライド上映のテーマは「軍港の町と人々の戦中戦後」。解説は事務局の池本さん(76)=里=が務めた。スライド上映では「由良駅で出征兵士を見送る人々」「日中戦争戦没者の村葬」「町内の軍事遺跡」などの写真を紹介。池本さんは「昭和12年から20年までで出征した兵士は町内で1425人。そのうち亡くなられた方は445人。実に32%の方が亡くなられた」「戦没者は最初のころは村葬をしていたが、(昭和)18年ごろからは亡くなる方が多過ぎて村葬も行われなくなった」などと写真に合わせて説明。戦時中は「空腹と栄養失調に悩まされた。栄養が十分でないからけがも治りにくかった」などと生活面の苦労にも触れ、憲法改正へ取り組もうとしている安倍政権に対しても厳しい意見を寄せた。
 スライド上映の前には由良女声合唱団のコーラスがあり、終了後には意見交換会も開かれた。意見交換会では「家の近くの山へ爆弾を落とされました。その怖さをいまでも忘れてはいません。二度と子ども、孫たちを戦場へ行かすことのない、戦争のない平和な毎日を送りたいと思います」という戦争体験者の声が聞かれた。