市内塩屋町北塩屋にある中山のハス池で、ことしも舞妃蓮が大輪の花を咲かせている。昭和41年、市内薗、故阪本祐二氏(元日高高校教諭)がアメリカの黄花ハス「王子蓮」と2000年以上の古代からよみがえった「大賀ハス」を掛け合わせて作り出した花。まさに御坊生まれのハスであり、阪本氏の長男尚生氏(印南中学校教諭)の協力の下、塩屋町の有志が分根してもらって育てている。
 平成21年から休耕田の有効活用でスタートした取り組み。最初の2年間はうまく花が付かなかったが、3年目から花が咲くようになり、4年目からフォトコンテストを実施してPR。ことしで5年目を迎えている。池一面に300本以上の舞妃蓮が淡いピンク色の花を咲かせる様子は、実に美しい。休日にはアマチュアカメラマンだけでなく、一般の人も観賞しに来ており、地元名所として定着してきているのだなと実感した。
 それにしても、これだけたくさんの舞妃蓮を見ることができるのは、地元では中山のハス池だけ。せめて開花のシーズンには、土、日曜日だけでもいいから物産販売を行ったり、観蓮会を企画したり、観光ツアーのコースに組み込んでもらったり、とにかくもっと盛り上げていくべきだと思う。
 ところが、いまのところ取り組んでいるのは、地元有志たちだけ。予算もない中でボランティアで池の管理をしたり、撮影会のイベントを行ったり苦労も多いと聞く。来年は池の面積の拡大も考えているそうだが、例えば市や観光協会なども協力して、みんなで盛り上げていく時期に来たのではないだろうか。御坊生まれのハス、これは素晴らしい観光資源である。  (吉)