市内の社会医療法人黎明会(北出俊一理事長)が昨年から進めていた北出病院新病棟の第1期工事が完成し、きょう13日の夜間から業務をスタートする。救急車が進入しやすい県道沿いに救急入り口を設け、急患の診療体制をこれまで以上に充実。MRIやCT、マンモグラフィーなど最新の検査機器を導入、県内初のハイテクナースコールも取り入れており、地域医療の一層の充実を図る。
 同病院の一部施設が築40年近く経過して耐震性に問題があり、近い将来発生が懸念されている南海地震等に備え、患者と職員の安全を守ろうと新築を計画し、昨年2月に着工していた。
 完成した新病棟は、旧病棟と連結できるように北側に建設した。最も重点に置いたのは、急患の受け入れ態勢の充実。これまでは旧病棟正面玄関東側が入り口だったが、新病棟では救急車がスムーズに1秒でも早く到着できるように県道沿いに設置した。早く処置ができるように、入ってすぐに2床同時に処置ができる広さを確保した救急室、さらに急患専用のレントゲン室も併設。専用のエレベーターもあり、緊急オペが必要ならすぐに5階の手術室へ搬送できるように配置している。夜間は医師2人、看護師2人とレントゲン技師が常駐し、いつでも対応できる体制を整えている。
 新築に合わせて検査機器も最新型に一新した。機器の目玉はMRI。これまでよりも細かく画像診断でき、病気の早期発見が期待できる。このほか乳がん早期発見のためのマンモグラフィー等も最新で、その場で細胞の検査ができるようになる。県立医大の医師と連携しており、北出病院で検査を行い、オペは医大で受けられるようになる。これら検査機器は旧病棟ではすべて1階だったが、新病棟では津波浸水被害を免れるため、内視鏡も含めて2階に各検査室を配置した。
 3、4階は入院患者の病室で、異変が起きた患者への早期対応へナースコールもデジタル化。県立医大でも現在設置工事が進んでいるが、供用開始は北出病院が県内トップ。各部屋の入り口につけていたネームプレートはタッチパネル式の液晶画面となり、ナースコールを押すと光の点滅と警報音で知らせ、4人部屋でも誰が押したか一目で分かるようになっている。看護師が持っているPHSにも連動して、同じ表示がされ、迅速な対応が可能だ。
 救急室に必要な部屋の配置、患者が使うトイレや風呂、手術室で医師や看護師が効率よく動けるような機器の配置などは、すべて現場の看護師らの意見を反映して設計した。北出理事長は「これで患者や職員に安心してもらえる。今後は患者のために一層体制を充実させていきたい」と話している。設計は芦原設計、施工は清水建設。
 第2期工事は外来診療等を整備する。2期工事が終わるまでは、一般外来の受け付けはこれまで通り旧病棟で行う。